初回車検の流れと費用|3年目車検で知っておくべきこと
はじめに
新車を購入してから3年目に迎える初回車検は、多くのドライバーにとって初めての経験となります。車検の流れや費用がわからず、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
初回車検は、2回目以降の車検と比べて整備箇所が少なく、費用も抑えられる傾向があります。しかし、適切な知識がないと、不要な整備を勧められたり、相場より高い費用を払ったりする可能性もあります。本記事では、初回車検の全てを詳しく解説し、安心して車検を迎えられるよう支援します。
初回車検の基本知識
車検とは何か
車検(自動車検査登録制度)は、車が安全・環境基準を満たしているかを定期的に検査する制度です。公道を走行するすべての車に義務付けられており、車検を受けずに運転すると道路運送車両法違反となります。
車検では、ブレーキ、ライト、排気ガス、タイヤなど約60項目が検査されます。基準を満たさない項目があると車検に合格できず、整備後の再検査が必要になります。
初回車検の時期
新車の初回車検は、新規登録から3年後に実施します。車検証に記載された「有効期間の満了する日」が車検期限で、この日までに新しい車検を受ける必要があります。
有効期間満了日の1ヶ月前から車検を受けることができ、この期間内に受ければ、次回の車検期限は変わりません。例えば、2025年5月31日が満了日の場合、5月1日以降に受ければ問題ありません。
初回車検の特徴
初回車検は、車がまだ新しく、走行距離も少ないため、大がかりな整備が必要になることはほとんどありません。一般的には法定費用と最低限の点検・整備で済むことが多く、2回目以降の車検より費用を抑えられます。
ただし、運転の仕方や使用環境によっては、ブレーキパッドやタイヤなどの消耗品交換が必要になる場合もあります。
初回車検の費用内訳
法定費用(必ず必要な費用)
法定費用は、どこで車検を受けても同額で、自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料(印紙代)の3つで構成されます。
軽自動車の場合:重量税6,600円、自賠責保険料19,730円(24ヶ月)、検査手数料1,800円で合計28,130円です。
普通車(1.5トン以下)の場合:重量税24,600円、自賠責保険料20,010円、検査手数料1,800円で合計46,410円となります。
車両重量が増えるほど重量税が上がり、1.5~2トンでは32,800円、2~2.5トンでは41,000円となります。
整備費用(車の状態により変動)
整備費用は、車検時に必要となる点検・整備にかかる費用で、車の状態により大きく変動します。初回車検では、エンジンオイル交換、ブレーキオイル交換、冷却水交換などの基本的な消耗品交換が中心です。
一般的な整備費用は、軽自動車で10,000円~20,000円、普通車で15,000円~30,000円程度が目安です。ただし、タイヤ交換やバッテリー交換が必要な場合は、さらに費用が上乗せされます。
検査代行手数料
車検の手続きを業者に代行してもらう場合の手数料です。ディーラーでは15,000円~25,000円、車検専門店では8,000円~15,000円、整備工場では10,000円~20,000円程度が相場です。
ユーザー車検(自分で陸運局に持ち込む)の場合、この手数料は不要ですが、平日の日中に時間を確保する必要があります。
総額の目安
初回車検の総額は、軽自動車で50,000円~70,000円、普通車(1.5トン以下)で70,000円~100,000円程度が一般的です。
ディーラーで受ける場合はやや高めで、軽自動車60,000円~80,000円、普通車80,000円~120,000円程度となります。車検専門店では、パッケージ料金として割安なプランが提供されることもあります。
車検を受ける場所の選択
ディーラー車検のメリット・デメリット
ディーラー車検は、メーカー純正部品を使用し、高い技術力で整備を行うため、品質面で最も信頼できます。また、メーカー保証の継続や、次回車検までの安心感も得られます。
デメリットは費用が高いことと、予防整備を積極的に提案されるため、車検に通すために必要な最低限の整備以上の作業を勧められることがあります。初回車検では過剰整備になりがちなので注意が必要です。
車検専門店のメリット・デメリット
車検専門店(コバック、速太郎など)は、スピードと低価格を重視したサービスが特徴です。45分車検や1日車検など、短時間での完了を謳っている店舗も多くあります。
費用はディーラーより安く、初回車検であれば軽自動車で50,000円~、普通車で65,000円~程度から利用できます。ただし、予防整備は期待できないため、日頃のメンテナンスが重要になります。
整備工場のメリット・デメリット
地域の整備工場は、地元密着型の丁寧なサービスが特徴です。長期的な信頼関係を築きながら、車の状態を把握してもらえるメリットがあります。
費用は工場により差がありますが、ディーラーより安く、車検専門店と同程度かやや高めです。腕の良い整備士がいる工場では、適切なアドバイスを受けられます。
ガソリンスタンド車検
ガソリンスタンドでも車検を受けられます。普段利用しているスタンドで手軽に相談できる利便性が魅力です。費用は車検専門店と同程度です。
ただし、整備工場を併設していないスタンドでは、他の整備工場に依頼するため中間マージンが発生する場合があります。
ユーザー車検
自分で陸運局に車を持ち込んで検査を受ける方法です。検査代行手数料が不要で、最も費用を抑えられます。初回車検では整備箇所が少ないため、ユーザー車検でも比較的容易に合格できる可能性が高いです。
ただし、平日の日中に陸運局に行く必要があり、ある程度の車の知識も必要です。
初回車検の流れ
準備段階(1~2ヶ月前)
車検満了日の1~2ヶ月前から準備を始めます。まず、車検を受ける業者を選び、見積もりを取ります。複数の業者から見積もりを取ることで、適正価格を把握できます。
また、自分で点検できる項目(ライト類の点灯、ワイパーの動作、タイヤの溝など)を確認し、明らかな不具合があれば事前に修理しておくと、車検時の追加整備を減らせます。
予約(2~3週間前)
車検を受ける日程を決めて予約します。特に3月や9月などの繁忙期は、早めの予約が必要です。代車が必要な場合は、予約時に依頼しましょう。
予約時には、車検証、自賠責保険証、自動車税納税証明書などの必要書類を確認しておきます。
車両引き渡し(当日)
予約した日時に車を持ち込みます。担当者と一緒に車の状態を確認し、気になる点があれば伝えます。また、見積もり内容を再確認し、追加整備が必要な場合は、必ず事前に連絡をもらうよう依頼しましょう。
代車を利用する場合は、ガソリンの残量や傷の有無を確認してから受け取ります。
検査・整備
業者が法定点検と車検に必要な整備を行います。初回車検では通常半日~1日で完了しますが、追加整備が必要な場合は2~3日かかることもあります。
整備中に追加整備の必要性が判明した場合、業者から連絡が入ります。内容と費用をしっかり確認し、納得してから承諾しましょう。
引き取り
車検が完了したら、新しい車検証、点検整備記録簿、領収書などの書類を受け取ります。車検証の有効期間が正しく更新されているか確認しましょう。
また、実施した整備内容の説明を受け、今後のメンテナンスについてのアドバイスももらっておくと良いでしょう。
初回車検で点検される主な項目
外装関連
ヘッドライト、テールライト、ウインカー、ブレーキランプなどの灯火類の点灯確認、ガラスやミラーの損傷確認、ワイパーの動作確認、車体番号の確認などが行われます。
初回車検では、これらの項目で不合格になることはほとんどありませんが、ライト類の電球切れには注意が必要です。
エンジン・動力関連
エンジンの始動性、アイドリングの安定性、排気ガスの測定、オイル漏れの確認、冷却水の量と状態、ベルト類の状態確認などが行われます。
初回車検では大きな問題が見つかることは稀ですが、エンジンオイルやブレーキオイルなどの消耗品は交換時期を迎えている場合があります。
ブレーキ・足回り
ブレーキの効き具合、ブレーキパッドの残量、ブレーキオイルの量と状態、サイドブレーキの効き具合、タイヤの溝の深さと偏摩耗、ホイールナットの締め付け、サスペンションの状態などが点検されます。
走行距離が3万km以上の場合、ブレーキパッドの交換が必要になることがあります。タイヤも、残り溝が3mm以下なら交換を検討すべきです。
電装・内装
パワーウィンドウの動作、メーター類の正常表示、ホーン(クラクション)の動作、シートベルトの状態、エアバッグの警告灯などが確認されます。
費用を抑えるポイント
複数見積もりの取得
最低でも3社から見積もりを取ることで、適正価格を把握できます。同じ車でも、業者により数万円の差が生まれることがあります。
ただし、安すぎる見積もりには注意が必要で、後から追加費用を請求される可能性もあります。見積もり内容の詳細を確認しましょう。
不要な整備の見極め
初回車検では、車検に通すために必要な整備と、予防整備を明確に分けて考えることが重要です。「3年後の次回車検までに交換が必要」と言われた部品は、今すぐ交換しなくても良い場合が多いです。
緊急性の高いものから優先的に対応し、それ以外は次回以降に先送りすることで、費用を分散できます。
早期予約割引の活用
多くの業者では、早期予約による割引サービスを実施しています。車検満了日の1~2ヶ月前に予約することで、3,000円~5,000円程度の割引が受けられる場合があります。
代車不要による割引
代車を利用しない場合、代車料金を節約できます。家族の送迎や公共交通機関の利用、テレワークなどで代車なしで過ごせるなら、2,000円~5,000円程度の節約になります。
エコカー減税の活用
ハイブリッド車や電気自動車など、環境性能に優れた車は、エコカー減税により自動車重量税が軽減されます。対象車種であれば、数千円~数万円の税金が免除または軽減されます。
初回車検前にやっておくべきこと
日常点検の実施
車検の1~2ヶ月前に、自分で点検できる項目をチェックしておきましょう。ライト類の点灯、タイヤの空気圧と溝の深さ、ウォッシャー液の補充、エンジンオイルの量などを確認します。
明らかな不具合が見つかった場合、車検前に修理しておくことで、車検時の慌ただしい対応を避けられます。
洗車と車内清掃
車検に直接関係はありませんが、洗車と車内清掃を行うことで、整備士に好印象を与えられます。また、汚れが落ちることで、隠れていた傷や損傷を発見できる場合もあります。
整備記録の確認
購入時から現在までの整備記録を確認し、交換した部品や実施した整備内容を把握しておきます。整備記録簿があれば、車検時に提示することで、適切な整備計画を立ててもらえます。
よくある質問と回答
車検は何日前から受けられるか
車検満了日の1ヶ月前から受けることができます。この期間内に受ければ、次回の車検期限は満了日から2年後となり、損をすることはありません。
車検が切れてしまったらどうなるか
車検切れの車を公道で運転すると、違反点数6点、30日間の免許停止、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。自賠責保険も切れている可能性が高く、さらに重い処罰の対象となります。
車検切れに気づいたら、絶対に運転せず、仮ナンバーを取得するか、積載車で陸運局や整備工場に運んでもらう必要があります。
車検と点検の違いは何か
車検は、法律で義務付けられた検査で、安全・環境基準を満たしているかを確認します。一方、法定点検(12ヶ月点検、24ヶ月点検)は、車の状態を詳しく点検し、予防整備を行うものです。
車検には24ヶ月点検が含まれますが、12ヶ月点検は車検とは別に受ける必要があります。
初回車検で交換が必要な部品は
一般的には、エンジンオイル、オイルフィルター、ブレーキオイル、冷却水などの油脂類の交換が推奨されます。ただし、これらは車検に通すために必須ではなく、メーカーの推奨交換時期に基づく予防整備です。
走行距離が多い場合や、使用環境が厳しい場合は、ブレーキパッドやタイヤの交換が必要になることもあります。
車検後のメンテナンス
次回車検までの点検
初回車検が終わっても、定期的な点検とメンテナンスは継続する必要があります。法定12ヶ月点検は、車検の中間年(新車から4年目)に実施が推奨されています。
また、オイル交換などの消耗品の定期交換も忘れずに行いましょう。
車検証の保管
新しい車検証は車内に携行する義務があります。車検証入れに入れて、グローブボックスなどに保管しましょう。
また、次回の車検満了日をカレンダーや手帳に記入し、うっかり車検切れにならないよう管理することが重要です。
整備記録の保存
今回の車検で実施した整備内容を記録し、次回の車検や定期点検時に参考にできるよう保管しておきます。整備記録簿は、車を売却する際の査定でもプラス評価の材料となります。
まとめ
初回車検は、車がまだ新しいため、比較的費用を抑えて受けられる傾向があります。適切な業者選びと、不要な整備の見極めにより、軽自動車で5万円台、普通車で7万円台から車検を通すことも可能です。
複数の業者から見積もりを取り、整備内容の透明性を重視して選択することで、適正価格で質の高いサービスを受けることができます。また、車検前の日常点検や、事前の不具合修理により、車検時の追加整備を減らすことも重要です。
初回車検は、今後の車との付き合い方を考える良い機会でもあります。信頼できる業者を見つけ、適切なメンテナンスを継続することで、愛車を長く安全に乗り続けることができるでしょう。次回以降の車検も、この経験を活かして計画的に進めていきましょう。


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